2018-10-20

<10/7 スローツアー山形レポート①>
まずは圧巻の焼畑あつみかぶから!

台風が迫りくるなか、短縮バージョンで行ったスローツアー『山形の在来作物をめぐる旅』。

スローツアー発足のきっかけとなった「カフェスロー」と、カフェを会場として続けられてきた「たねと食のおいしい祭り」の2つの大事な繋がりがあった上での企画でした。

東京と地域(今回は山形)を繋ぎ、ともに考えていくというスローツアーの原点に立ち返ることができた素晴らしい2日間を愉快なメンバーで過ごしてきましたので、ここで報告をさせていただきます。

まずは、「だだちゃ豆」(前泊組だけ)!

いきなりお料理の写真を出してしまいましたが、こちらはツアー前泊組がお世話になった鶴岡の「菜ぁ」さんでの夕食の一コマ。

自家栽培米と、畑の野菜を使った旬の料理が本当に美味しく、こうして山形の秋を彩る食用菊の「もってのほか」を食べさせていただいたりと、色々なことを知ることができる農家民宿さんです。

贅沢なご飯をいただきながら、菜ぁさんで台風をやり過ごした前泊組。夜中に聞こえてくる強風に怖がりつつも、まるでびくともしない築130年の古民家の強さに安心して過ごさせていただきました。

翌朝。ツアーに合流するため、ほぼ時間がない中でしたが、5分だけ!と少しだけ「だだちゃ豆」を見させていただきました。

もうすでに収穫は済んで、こうしてさかさまに吊るしてほしているところ。このように種は継がれ在来作物は愛されつつ守られています。

さぁ早く出発しないと待ち合わせに遅れる!ということで若旦那・小野寺紀允さんの写真を撮るのも忘れて出発(残念…)! たくさん聞かせていただいた若旦那の熱いお話の数々。本当にためになり面白かったので、ぜひ皆さん鶴岡にお泊りの際は農家民宿「菜ぁ」さんへお立ちよりください◎

圧巻の焼畑あつみかぶ

さぁそれではいよいよツアースタート!

庄内エリアをご案内いただくのは、山形の文化を未来の世代に残したいという思いで、食べ物付き情報誌『山形食べる通信』を発刊されている松本典子さん(通称まつのりさん・写真一番左)。

スローツアー・カフェスローとも関係の深いまつのりさんと合流をし、一気に心強くなった私たち、早速この日の目的の「焼畑あつみかぶ」の生産現場へと向かいます。(ちなみにこの写真は、あつみ温泉の足湯カフェ「ChittoMotche チットモッシェ」さんでの一枚でした)

まつのりさんから山形のことや在来作物について様々なレクチャーを受けながら車を走らせること小1時間。なんだか遠くに草原のような場所が見えてきます。

そうなんです。なにを隠そう、こここそが「焼畑あつみかぶ」の生産現場なのです。

なんと驚くことに、この緑色が全てカブ!!

…そんなまさかぁと思いながら近づくと、確かにカブだっ!

赤紫色が特徴の「焼畑あつみかぶ」が斜面を覆う様子、まさに圧巻です。

その名前から分かるように、焼畑あつみかぶは「焼畑」の伝統農法によって育てられるかぶで、その歴史はなんと江戸時代から400年にものぼるのだと言います。


この焼畑、凄いのは見た目だけではありません。

さすがに長い期間続いてきただけあって、人と自然が共に生きていくための知恵に溢れているのですが、簡単にまとめると-

① 山の木々を切り倒し斜面を燃やすことで、土地が殺菌され雑草などの埋土種子の成長が阻害されるため、農薬散布をしなくてもカブの栽培が可能になる。

② もともと森林の土壌として蓄えられた栄養と、地上部で燃やされた灰が養分となるので、化学肥料などを与える必要もなくなる。

③ かぶの収穫が済んだら、またその土地に苗木を植え、再び森林を育てるというサイクルを通して、森林の若返りをはかることが出来る。

という素晴らしい方法なのだと言います。

そんなことを伺いながら、カブを採らせていただく私たち。

本当に綺麗なカブです。

ですが、こんなに歴史が長く合理的な農法も、時代の流れとともに消滅の危機に瀕しているのだといいます。

そこで立ち上がったのが温海町森林組合さん。(写真左から2番目の忠鉢さんが、今回現地を案内してくれました。忠鉢さん、お忙しいところ本当にどうもありがとうございました!!)

良質な木材を育てるために、定期的な皆伐(焼き畑)を通して山の若返りを図り、同時に焼き畑あつみかぶを育てることで、焼畑の伝統農法と林業を両方維持していくための取り組みを2年前から始められたのだそうです。

林業の今後と、伝統農法の維持、その両方に対する取り組みがこの圧巻の景色に込められているというわけです。

それにしても、どこを見渡してもカブ・・・。凄いなぁ本当に。

この景色と取り組みに圧倒されながら、忠鉢さんが規格の話を教えてくれました。

この写真で並んでいる焼畑あつみかぶのうち、左が規格内の形で、右は規格「外」となってしまうのだとか。

味は同じでも、形の違いだけで売れるものと売れないものに分かれてしまうそうで、そこには様々な理由があるのだとしても、感情としてはやっぱりなんだか勿体ないなぁという気持ちになってきます。

じつは今回案内してくれているまつのりさんは、このせっかく作っても2~3割が「形」だけを理由に捨てられてしまうという現状に対して、規格外の焼畑あつみかぶを使ったスープの開発に取り組むべくクラウドファンディングを実施していました(スープにしてしまえば、形は関係ないですからね)。

その挑戦が見事に目標金額を達成し、現在着々とその実現に向かって進まれています。

400年伝わる在来のかぶ。無添加アレルギーフリーのスープに変身!(readyfor 達成済)

次々と新しい方法を考えていく皆さんの様子を見て、私たちも微力でもなにか出来ないだろうかと考えるきっかけとなりました。

あっ!と指さしたところには

道にこぼれた種からもひっそり育つ、道ばたあつみかぶでした。

最後にカブの根性を見させていただいたところで、大興奮のまま次なる目的地へ!

(長くなってきたので、次へつづく…)

*次回:三角そば~しな織り~さわのはなの高橋さん親子との交流

*次々回:さわのはな~甚五右ヱ門芋

と続いていく予定です。


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